以前の記事でもご紹介したように、30代から男性は「生活習慣病」のリスクが高まります。
そのため、男性は胃や結腸・直腸など消化器系の病気に注意が必要です。
その中でも胃の検査については「胃カメラ」と「バリウム検査」があります。
「胃カメラ」と「バリウム検査」どちらを受けたらよいか悩む方もいらっしゃると思います。
そんな方のためにも、今回はそれぞれの検査のメリットとデメリットについてご紹介します。
バリウム検査のメリット、デメリット
バリウム検査のメリット
◎バリウム検査は胃カメラよりも安価で受けることができる
全額自己負担の場合、胃カメラは1万5千円~2万円程度かかるのに対し、バリウム検査は1万円~1万5千円程度で受けることができます。
また、年齢制限があり誰もが受けられるわけではありませんが、自治体が行っている「胃がん検診」を受ければ、低額、もしくは無料でバリウム検査を受けることができます。
◎スキルス性胃がんの発見は胃カメラよりも得意
スキルス性胃がんとは、胃の壁が硬く・厚くなるタイプの進行胃がんで、4型胃がんともいわれています。
このタイプのがんは胃カメラでは見つけにくいですが、バリウム検査の場合は胃の断面写真を撮影できるため、厚みに異常があればすぐにわかります。
◎胃の全体像の把握ができる
胃カメラでは、先端に付いたカメラが映し出す胃の一部分だけしか一度に確認ができません。
そのため、胃のどこの動きが悪いのか、胃の形に異常がないのかを把握するのが難しいです。
しかし、バリウム検査は胃の動きや全体像を知ることができます。
バリウム検査のデメリット
◎バリウムによる腸閉塞のリスク
バリウムを飲んだ後は、下剤を飲み体の中から出し切る必要があります。
バリウムが腸内で貯留してしまうと、腸内の水分が吸収されすぎ便が硬くなり詰まってしまいます。便が詰まると腸閉塞や腸内の圧力が高まり、腸穿孔となり外科手術で腸を切除しなければなりません。
◎放射線被ばく
バリウム検査は、放射線を使用するので被ばくのリスクがあります。
もちろん、人体に影響のない量ではありますが、「被ばく」にいいイメージがなかったり、出来れば避けたいという方もいらっしゃると思います。
◎げっぷをすると再度発泡剤の服用が必要
バリウム検査は胃粘膜の状態を詳しく検査するという目的が含まれています。胃がしぼんだ状態だと病変を見つけることができないため、胃を膨らませるために発泡剤を飲みます。
発泡剤を飲むと、炭酸ジュースを飲んだ時のようにげっぷがしたくなりますが、げっぷを我慢しなければなりません。
げっぷをすると再度発泡剤を服用しなければなりません。そのため、げっぷの我慢が苦手な人には不向きな検査です。
◎要精密検査となると内視鏡検査(胃カメラ検査)が必須
バリウム検査で異常が見つかった場合は、追加で胃カメラ検査を行う必要があります。
そのため、二度手間になってしまい、最初から胃カメラ検査を受けるほうが効率的です。
胃カメラのメリット、デメリット
胃カメラ検査のメリット
◎被ばくの影響がない
胃カメラ検査では放射線や電磁波を使う必要がありません。
そのため、バリウム検査と違って被ばくを心配する必要がありません。
◎小さな病変を発見できる
胃カメラでは食道や胃の内壁細部まで映すことができ、ズーム機能もあるためごく小さな腫瘍も発見することができます。
胃の粘膜表面の凹凸・形状・色まで確認できるため、バリウム検査に比べて得られる情報が多いです。
◎鎮静剤を使用して眠った状態で検査ができる
胃カメラはのどに内視鏡チューブを通して検査をします。このチューブの細さは年々進化しており痛みや不快感を感じにくくはなっています。
とはいっても、胃カメラ検査が怖いと感じる方もいらっしゃると思います。
最近では、局所麻酔や鎮静剤を使った検査を実施している施設も増えてきています。
鎮静剤を使用すれば眠った状態もしくは、意識がぼんやりした状態で検査が受けられます。感じ方には個人差がありますが、「気づいたら検査が終わっていた」と感じる方が多いです。
胃カメラ検査のデメリット
◎嘔吐反射による出血
嘔吐反射(えづき)を繰り返すと、食道に強烈な圧が加わり、食道と胃が交わっている部分の粘膜表面が傷つき出血します。
検査中に出血したとしても小さなキズであれば自然と良くなりますし、大きなキズができても内視鏡検査中であればすぐに止血処置が可能です。心配な方は鎮静剤を使用すれば嘔吐反射せずに検査可能ですので、鎮静剤を使用して検査を受けることをおすすめします。
◎嘔吐反射やカメラ挿入感のきつさ
胃カメラ検査が怖いと感じる人の最も大きな原因は、嘔吐反射やカメラ挿入感のきつさだと思います。
内視鏡検査ではカメラを飲み込んで胃の中を観察するので、のどに異物感があります。口の奥には嘔吐反射が起きやすい部分があり、カメラがそこに触れると必ず「おえっ」となります。
胃カメラ検査を楽に受けるためには?
胃カメラ検査のデメリットは「内視鏡チューブを口から挿入するときのきつさ」にあります。
この痛みや違和感を軽減するには「鎮静剤を使用して検査」や「経鼻内視鏡での胃カメラ」という方法があります。
鎮静剤を使用して眠って検査を受ければ、嘔吐反射も挿入感のきつさも関係ありません。
経鼻内視鏡は経口内視鏡とは違うルートを通るため、嘔吐反射が起きにくいです。カメラ自体の太さも、経口内視鏡の約半分なので、挿入感のきつさも軽減できます。
まとめ
バリウム検査のデメリット:バリウムによる腸閉塞のリスク、げっぷをすると再度発泡剤の服用が必要、要精密検査となると内視鏡検査(胃カメラ検査)が必須
胃カメラ検査のメリット:小さな病変を発見できる、鎮静剤を使用して眠った状態で検査ができる
胃カメラ検査のデメリット:嘔吐反射やカメラ挿入感のきつさ
バリウム検査は胃カメラより安価で受けることができ、胃の全体像を把握することができますが、バリウムを飲まなければならないことに関するデメリットがあります。
また、バリウム検査で要精密検査となった場合、胃カメラ検査を受けなければならなくなり、二度手間になってしまいます。
胃カメラ検査は細部まで映すことができ、ズーム機能もあるためごく小さな腫瘍も発見することができます。
胃カメラ検査には、嘔吐反射やカメラ挿入感のきつさといったデメリットはありますが、鎮静剤を使用することでその痛みや違和感を軽減することができます。